激闘の末、たくろうの優勝で幕を閉じたM-1グランプリ2025。
今年の決勝戦でM-1ファンからの注目を集めたひとつが、ファーストステージを1位通過したエバースの決断だ。
通例であれば、1位通過者は最も有利とされる「3番手(ファイナルステージのトリ)」を選ぶのがセオリーでした。しかし、エバースはあえて「2番手」を選択しました。その結果、2位通過だったたくろうが3番手となり、見事に優勝を果たしました。
果たして過去の傾向から、M-1のファイナルステージは何番目に漫才をするのが最も有利なのでしょうか?
今回は、2001年から2025年までの歴代優勝者のデータを基に、出番順と優勝確率の相関関係を分析します。
1. 歴代優勝者のファイナルステージ出番順一覧
まずは、歴代王者がファイナルステージで何番目にネタを披露し、ファーストステージを何位で通過したのか、一覧表で振り返ってみましょう。
| 年 | 優勝コンビ | ファイナル出番順 | ファースト順位 |
|---|---|---|---|
| 2001 | 中川家 | 1 | 1 |
| 2002 | ますだおかだ | 3 | 2 |
| 2003 | フットボールアワー | 3 | 1 |
| 2004 | アンタッチャブル | 1 | 1 |
| 2005 | ブラックマヨネーズ | 3 | 1 |
| 2006 | チュートリアル | 3 | 1 |
| 2007 | サンドウィッチマン | 3 | 1 |
| 2008 | NON STYLE | 2 | 2 |
| 2009 | パンクブーブー | 2 | 2 |
| 2010 | 笑い飯 | 2 | 2 |
| 2015 | トレンディエンジェル | 2 | 2 |
| 2016 | 銀シャリ | 3 | 1 |
| 2017 | とろサーモン | 1 | 3 |
| 2018 | 霜降り明星 | 3 | 1 |
| 2019 | ミルクボーイ | 3 | 1 |
| 2020 | マヂカルラブリー | 2 | 2 |
| 2021 | 錦鯉 | 2 | 2 |
| 2022 | ウエストランド | 1 | 3 |
| 2023 | 令和ロマン | 1 | 3 |
| 2024 | 令和ロマン | 2 | 2 |
| 2025 | たくろう | 3 | 2 |
統計データ:出番順ごとの優勝回数
※2組で争われた2001年(中川家)を除外した20大会分で算出
- 1番手:4組(20%)
- 2番手:7組(35%)
- 3番手:9組(45%)
データを見れば一目瞭然ですが、M-1の歴史においては「順番が後になればなるほど有利」という傾向がはっきりと出ています。特に3番手(大トリ)の勝率は半数近い45%に達しており、ファーストステージを1位で勝ち上がったコンビが、そのまま勢いに乗って逃げ切るパターンが多いことがわかります。
2. 旧M-1(2001-2010)の分析
一旦大会の歴史に幕を下ろした2010年までの通称「旧M-1」では、出番順による差が明確に出ておりました。
旧M-1の出番順別・優勝確率
- 1番手:1組(11%)
- 2番手:3組(33%)
- 3番手:5組(56%)
旧M-1では、ファーストステージを1位通過したコンビが「3番手」を選ぶのが通例でした。
2003年(フットボールアワー)から2007年(サンドウィッチマン)にかけては、5年連続で3番手のコンビが優勝しています。
唯一の例外とも言えるのが、2004年のアンタッチャブル。ファーストステージ1位通過のままファイナルステージも1番手で、爆笑をさらって優勝しました。
2008年以降は傾向が変わります。
- 2008年:NON STYLE(2位通過・2番手)
- 2009年:パンクブーブー(2位通過・2番手)
- 2010年:笑い飯(2位通過・2番手)
このように、2位通過のコンビがファイナルステージ2番手で、1位通過を逆転するという現象が起こりはじめました。
3. 新M-1時代(2015-2025)の分析
コンビ結成歴が15年に拡大されたM-1グランプリ2015年からの通称「新M-1」では出番順の有利・不利が以前よりも薄れてきているのが特徴です。
新M-1の出番順別・優勝確率
- 1番手:3組(27%)
- 2番手:4組(36%)
- 3番手:4組(36%)
旧M-1に比べ、1番手の勝率が大幅に向上しています。
2017年のとろサーモン、2022年のウエストランド、2023年の令和ロマンと、「3位通過からファイナルステージ1番手でまくり上げる」という旧M-1では見られなかった傾向が起こっています。
2025年、エバースが起こした「異変」
そして2025年、新M-1の歴史において大きな転換点となる出来事が起こりました。
ファーストステージを圧倒的な点数で1位通過したエバースが、「3番手(大トリ)」ではなく、あえて「2番手」を選択したのです。
結果として、2位通過で3番手になったたくろうが爆発し、優勝。
新M-1においては、出番順の選択はあまり最終結果に影響しないことを裏付ける、一因となりました。
4. 結局、何番目が一番有利なのか?
これまでのデータを踏まえると、結論は以下のようになります。
データ上の最強は「3番手」
そうはいっても、累計勝率45%という数字は無視できません。最後にネタを披露することで、審査員やお客さんの印象に最も強く残ったまま駆け抜けれるというメリットは依然として存在します。
1位通過コンビの「選択」が鍵
かつては「1位通過=3番手選択」が絶対の正解でした。しかし、令和ロマンの連覇(2023年・2024年)や、たくろうの優勝(2025年)など、「自分たちの漫才のスタイルが、どの空気感にフィットするか」を冷静に判断できたコンビが、最終的にトロフィーを手にしています。
たくろうの優勝は、伝統的な「3番手有利」のジンクスを証明した形になりましたが、それを選択させたのはエバースの戦略的な判断でした。
来年以降、ファーストステージを1位で抜けたコンビは果たして何番手を選ぶのか?
ネタの内容だけでなく、その「選択」から始まる心理戦に注目すると、M-1グランプリはさらに面白くなるはずです!

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