はじめに:日本のYouTuberはどのように進化してきたのか?
2007年にYouTubeが日本語対応して以来、たった十数年で「ユーチューバー」という職業が当たり前のものになりました。
初期の「個人投稿時代」から、いまや企業・芸能人も参入する「メディア時代」へ——。
この記事では、日本人ユーチューバーの歴史を世代ごとに区分し、代表的な人物や流行の変遷をわかりやすく整理していきます。
第1世代(2007〜2012年)|黎明期を築いた先駆者たち
🔹YouTubeが「趣味の投稿サイト」だった時代
この頃のYouTubeはまだ広告収益制度が整っておらず、動画投稿は純粋な趣味活動でした。
限られたファン層の中で「個性」や「技術」で注目を集める人が中心でした。
🔸代表的なYouTuber
- HIKAKIN(ヒカキン)
ビートボックス動画でブレイク。日本のYouTuber文化を築いた第一人者。
→後に「UUUM」設立メンバーとして産業化の基盤を作る。 - MEGWIN(メグウィン)
日本最古参とも言われるYouTuber。企画性の高いコント動画で人気を集める。 - PDS株式会社(ダンテ)
海外文化を取り入れたハイテンションスタイルで話題に。
この時代の特徴は、**“個人が自分の表現を自由に発信できる”**ことへの感動でした。
第2世代(2013〜2015年)|YouTubeが「職業」になった時代
🔹UUUMの登場とYouTuber産業化
2013年に設立されたUUUM(ウーム)がYouTuberをプロデュースする仕組みを確立。
これにより、YouTube=夢のある職業というイメージが広がりました。
🔸代表的なYouTuber
- はじめしゃちょー
ドッキリや実験系で若者の心をつかむ。「企画系YouTuber」の象徴的存在。 - SEIKIN(セイキン)
ヒカキンの兄で音楽・商品レビューを中心に活躍。 - マホト
カリスマ的な人気を誇るストリート感のある動画スタイルで支持。 - フィッシャーズ
仲間との青春や体当たり企画が人気に。YouTubeを「青春コンテンツ」に変えた存在。
この世代は、チーム化・収益化・エンタメ化が進んだターニングポイントでした。
第3世代(2016〜2018年)|多様化と「個性の時代」
🔹YouTuberのジャンルが一気に拡大
美容、ゲーム、教育、料理、Vlogなど、専門分野に特化したYouTuberが急増。
視聴者も「自分の興味に合った動画を選ぶ」ように変化しました。
🔸代表的なYouTuber
- 水溜りボンド(企画系・トーク力重視)
- 東海オンエア(岡崎発のローカル企画が全国区に)
- ヒカル(お金×企画で話題を席巻)
- ラファエル(ビジネス系YouTuberの先駆け)
- ゆきりぬ・関根りさ(美容・ライフスタイル系を牽引)
この頃から「再生数競争」よりもブランド力・キャラクター性が重視されるようになります。
第4世代(2019〜2021年)|芸能人・企業の参入時代
🔹YouTubeが“テレビ化”していった時代
コロナ禍をきっかけに芸能人・アスリートが続々とYouTubeへ参入。
テレビや雑誌に代わる新しいメディアプラットフォームとしての地位を確立しました。
🔸代表的なYouTuber・チャンネル
- 中田敦彦のYouTube大学(教育系ブームの火付け役)
- カジサック(キングコング梶原)(家族・芸人・企画力で成功)
- 本田翼(ほんだのばいく)(ゲーム実況で話題に)
- 宮迫博之(宮迫ですッ!)(芸能人復活の舞台に)
- 朝倉未来(格闘技×ビジネス×ライフスタイル)
この時代は「YouTube=自己発信×ブランディング」の象徴でした。
第5世代(2022〜現在)|ショート動画・AI・Z世代の台頭
🔹TikTok世代がYouTubeに進出
YouTube Shortsの登場で、15〜60秒の短尺動画が急成長。
Z世代クリエイターが次々とブレイクし、アルゴリズム時代のYouTubeが始まります。
🔸代表的なYouTuber
- コムドット(地元ノリを全国区に、若者のカリスマ)
- ばんばんざい(男女3人組で恋愛×リアリティ)
- 平成フラミンゴ(等身大の女子トークが共感を呼ぶ)
- スカイピース(音楽・エンタメ融合型)
- Repezen Foxx(レペゼンフォックス)(音楽×エンタメ×海外展開)
🔹新潮流:AI・VTuber・企業コラボ
- キズナアイ・ホロライブ・にじさんじなど、VTuber文化が確立。
- 生成AIを活用した動画編集・台本制作も普及し、クリエイターの形が変化。
世代ごとのまとめ表
世代 | 期間 | 主な特徴 | 代表的YouTuber |
---|---|---|---|
第1世代 | 2007〜2012 | 趣味投稿・個人時代 | HIKAKIN, MEGWIN |
第2世代 | 2013〜2015 | 収益化・事務所登場 | はじめしゃちょー, フィッシャーズ |
第3世代 | 2016〜2018 | 多様化・専門ジャンル化 | ヒカル, 東海オンエア |
第4世代 | 2019〜2021 | 芸能人参入・テレビ化 | 中田敦彦, カジサック |
第5世代 | 2022〜現在 | ショート動画・Z世代 | コムドット, 平成フラミンゴ |
まとめ:YouTuberの歴史は“個人の時代”から“文化の時代”へ
YouTuberは、もはや一部のインフルエンサーではありません。
いまや個人・企業・芸能人・AIまでもが発信者となり、YouTubeは「社会の鏡」となっています。
これからは、
- AIによる動画制作の効率化
- コミュニティ重視のファンビジネス化
- 海外進出(英語・多言語化)
などがキーワードとなるでしょう。
あなたが今日見ているYouTubeの世界は、これまでの先駆者たちの積み重ねの上にあります。
そして次の世代のクリエイターが、また新しい時代を切り開いていくのです。
コメント