「アンコールワットに行きたいけど、カンボジアの治安は大丈夫?」
「発展途上国での旅行が初めてだけど、何を注意すればいい?」
悠久の歴史を感じさせるアンコールワットをはじめ、世界中の旅人を魅了してやまないカンボジア。親切で穏やかな国民性も魅力ですが、発展途上国として、旅行者が注意すべき治安リスクも存在します。
特に、歴史的な背景からくる貧富の差や、インフラ整備の遅れからくる都市部の犯罪は、旅行前にしっかりと把握しておくべき情報です。
この記事は、2025年最新版のカンボジア(シェムリアップ、プノンペン含む)の治安状況を徹底的に解説するガイドです。以下の重要な情報を網羅しました。
- カンボジアの治安の傾向と、特有の危険(内戦の影響など)
- 観光客が巻き込まれやすい具体的な犯罪手口
- 初心者でも安心して滞在できる、安全対策の具体的な行動指針
このガイドを読み、適切な知識と対策を身につけることで、カンボジアの雄大な遺跡と、人々の温かさを心から安全に満喫することができるでしょう。ぜひ、旅行前の必須準備としてご活用ください。
カンボジアはどんな国?歴史から見る治安の背景
カンボジアの治安の特徴を理解するには、近代に経験した悲劇的な歴史的背景が欠かせません。この歴史が、現在の社会構造や治安の複雑さに関わっています。
1. 栄光のクメール王朝とフランス植民地時代
カンボジアは、9世紀から15世紀にかけてクメール王朝として東南アジアに広大な領土を誇り、アンコールワットなどの巨大な石造寺院を築きました。その後、タイやベトナムの支配を経て、フランスの植民地となりました。
- 歴史遺産:アンコールワットは、この栄光の時代の象徴であり、カンボジアの誇りです。
- 独立:1953年にフランスから独立を果たしました。
2. ポル・ポト政権による悲劇と内戦の傷跡
カンボジアの現代史で最も重要なのは、1970年代後半のポル・ポト政権(クメール・ルージュ)時代です。この時代に知識人や技術者が大量虐殺され、社会基盤が徹底的に破壊されました。
- 内戦の傷:内戦終結後も長期間にわたり内戦状態が続き、社会インフラの整備や教育水準の回復が遅れています。
- 治安との関係:戦争と混乱の時代が、貧富の差を拡大させ、特に都市部における窃盗などの一般犯罪の温床となっています。また、地方には地雷が残っている場所もあるため、観光ルートを外れた場所への立ち入りは厳禁です。
【2025年最新】カンボジアの治安状況と最も警戒すべき犯罪
結論として、カンボジアは「一般犯罪に対する警戒が必要な国」です。重犯罪(殺人など)は外国人観光客が巻き込まれることは稀ですが、スリやひったくりは非常に多く発生しており、特に注意が必要です。
1. 最大の脅威:バイクによるひったくり
プノンペンやシェムリアップの市街地で最も警戒すべき犯罪です。アジアの他の都市と同様に、バイクに乗った二人組が、歩行者の手荷物やスマートフォンを奪い去ります。
- 手口:歩道でスマートフォンを操作している観光客、トゥクトゥクに乗ってカバンを膝の上に置いている観光客が狙われます。犯人は一瞬で逃走します。
【対策】 スマートフォンを歩きながら操作しない。トゥクトゥク乗車時は、カバンを体の奥側(道路と反対側)に抱え、しっかり固定する。
2. 観光地でのスリ・置き引き
アンコールワットなどの遺跡群や、プノンペンの市場、パブストリートといった人混みで発生します。
- スリ:混雑を利用して、リュックやポケットから財布を抜き取ります。
- 置き引き:カフェやレストランで、テーブルに置いた携帯電話や、椅子の背もたれにかけたカバンを、目を離した隙に持ち去ります。
【対策】 リュックは体の前で抱える。貴重品はチャック付きの内ポケットに入れ、絶対に椅子などに放置しない。
3. トゥクトゥク、タクシー関連のトラブル
トゥクトゥク(バイクに客車がついた乗り物)はカンボジアの主要な移動手段ですが、乗車前に料金交渉をしっかり行わないと、降車時に高額請求されるトラブルが多いです。
【対策】 Grab(グラブ)などの配車アプリを利用しましょう。料金が事前に確定するため、ぼったくりを防げます。交渉で乗る場合は、紙に料金を書いてもらいましょう。
カンボジアで特に注意が必要な危険エリア・場所
主要な観光地(アンコールワット周辺など)は比較的安全ですが、都市部や特定のエリアは注意が必要です。
1. プノンペン(Phnom Penh)
首都プノンペンは、カンボジアの中で最も犯罪率が高いエリアです。特に夜間は以下のエリアで警戒が必要です。
- セントラルマーケット(Psar Thmey)周辺:昼間は賑わいますが、周辺の裏路地や夜間はスリやひったくりが多発します。
- トゥール・スレン博物館周辺:観光地ですが、周辺は人通りが少ない場所もあるため、日没後の単独行動は避けるべきです。
【安全なエリア】 リバーサイド(トンレサップ川沿い)やボンケンコン(BKK)地区などの外国人居住区や高級ホテル周辺は、警備が比較的厳重です。
2. シェムリアップ(Siem Reap)
アンコールワットへの玄関口であり、観光地のため警備が強化され、プノンペンより治安は良いですが、以下のエリアは注意が必要です。
- パブストリート(Pub Street)周辺:夜間は観光客で賑わいますが、酔った人を狙ったスリや、睡眠薬強盗のリスクがあります。
- 郊外の遺跡(アンコールワット以外):人通りが少ない遺跡を単独で訪れる際は、車やトゥクトゥクを手配し、運転手に待機してもらうなど、安全対策を徹底してください。
3. 観光ルート外の地方(特に国境沿い)
タイやベトナムとの国境周辺や、観光ルートから大きく外れた農村部の一部には、未だ地雷が残るエリアがあります。観光客が立ち入る場所ではありませんが、安易に未舗装の道や立ち入り禁止の看板がある場所に入らないでください。
初心者でも安心!カンボジアでの安全対策と具体的な行動ガイド
これらの注意点を踏まえた上で、カンボジアを安全に楽しむための具体的な行動指針をご紹介します。
1. 貴重品は「分散管理」と「見せない」を徹底
- 分散:パスポートと大金、クレジットカードは一箇所にまとめず、セキュリティポーチやホテルのセーフティボックスに分けて保管する。
- 携帯:高級な時計やアクセサリーは身につけない。スマートフォンは歩きながら操作しない。
- ダミー:もしものひったくりに備え、少額の現金と古いカードを入れたダミーの財布を用意しておくのも有効です。
2. 移動は「Grab」または「PassApp」を活用
カンボジアで最も安全で推奨される移動手段は、配車アプリのGrabまたはローカルアプリのPassAppです。料金が確定し、移動履歴が残るため、ぼったくりや強盗のリスクを大幅に軽減できます。
【ポイント】 トゥクトゥク利用時は、乗車時にアプリで料金を確認し、その価格で交渉しましょう。
3. 夜間の移動と一人歩きは避ける
特にプノンペンでは、日没後の人通りの少ない場所での一人歩きは避けるべきです。夜間に移動する際は、必ずGrabなどの配車アプリを利用し、目的地まで直行しましょう。女性の一人歩きは、特に夜間の警戒レベルを上げてください。
4. 緊急時の連絡先を控えておく
万が一の事態に備え、渡航前に外務省の「たびレジ」に登録し、以下の連絡先を控えておくことが重要です。
- 警察(Police):117
- 日本の大使館:(在カンボジア日本国大使館の最新の電話番号を検索して記載することを推奨)
治安を気にせず楽しめる!カンボジアのおすすめ観光地
適切な対策を講じれば、カンボジアの壮大な観光地を安全に満喫できます。
1. アンコールワット(Angkor Wat)遺跡群
カンボジア最大の観光地であり、世界遺産です。遺跡全体が広大で、観光客が多く、警備も強化されています。朝日の鑑賞や、アンコールトム、タ・プロームなど、有名な遺跡を巡るツアーは安全です。
2. トンレサップ湖(Tonle Sap Lake)
東南アジア最大の湖。水上生活者の村や、特有の生態系を見学できます。シェムリアップから日帰りツアーで訪れるのが一般的で、ツアー会社を通じて行く場合は安全が確保されています。
3. プノンペン王宮(Royal Palace)
現在も国王が暮らす王宮と、きらびやかな銀の寺。プノンペンのリバーサイドエリアにあり、警備が厳重で安全に観光できます。入場時には服装規定(露出の少ない服)を守りましょう。
4. シェムリアップ パブストリート(Pub Street)
夜のシェムリアップの中心地。外国人観光客向けのレストランやバーが集まり、賑わっています。夜間も人通りが多く、スリに注意すれば比較的安全に楽しめます。
カンボジアの治安まとめと安全な旅のために
カンボジアは、悲しい歴史の傷跡からくる貧富の差が背景にある、「一般犯罪(スリ・ひったくり)に注意が必要な国」です。しかし、人々の多くは親切で穏やかです。
最も重要な対策は、「バイクによるひったくりから荷物を守る」ことと、「トゥクトゥクのぼったくりを防ぐためにGrabアプリを活用すること」です。これらを徹底するだけで、トラブル遭遇のリスクは大幅に減少します。
この記事の安全対策をしっかりと実行し、カンボジアの壮大な歴史と文化を心ゆくまで満喫してください!
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